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認知症をきたす病気について3


皆さん、こんにちは。院長の中野正剛です。

少し時間があいてしまいましたが、アルツハイマー型認知症についてお話を続けさせていただきます。

アルツハイマー型認知症の診断手順について

もの忘れ外来では認知症かもしれないと心配して受診される方を診察しています。そしてもの忘れの症状がいったいどの病気によるものであるか診断し、治療を行っています。

認知症の定義やアルツハイマー型認知症とはどういった病気であるのかはこれまでのコラムで説明してきました。

実際の診療の現場ではアルツハイマー型認知症らしさをいかにして見出すかが重要となります。アルツハイマー型認知症の症状の特徴については診断基準に記載されています。

アルツハイマー型認知症の診断基準

アルツハイマー型認知症の診断基準は幾つかが存在しています。代表的なものとして米国精神医学会による精神疾患の診断・統計マニュアル:DSM-5と米国国立老化研究所(National Institute on Aging:NIA)とアルツハイマー協会(Alzheimer’s Association:AA)によるNIA-AA診断基準があります。

ほぼ同時期に公表された2つの診断基準ですが、DSM-5がある程度進行したアルツハイマー型認知症を想定しているのに対し、NIA-AA診断基準は軽度認知障害に近い早期のアルツハイマー型認知症を想定しているといった違いはありますが、認知症の状態であることを確認した上で記憶障害を含めた認知機能の低下がアルツハイマー型認知症の特徴であると示しています。(NIA-AA診断基準の方は認知機能低下で始まらず他の認知機能低下から発症するタイプについても記載がありますが、それについては後に説明します。)

認知機能の低下を確認する方法

記憶を含めた認知機能低下は臨床の現場では神経心理検査を実施することで客観的に評価することになっています。

神経心理検査には様々なものがあり、もの忘れ外来を設置しているクリニックでは複数の検査を組み合わせて実施することで認知機能を調べています。

代表的な心理検査としては改訂版長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)、Mini Mental State EXamination(MMSE)、時計描画テスト(Clock Drawing Test:CDT)、Japanese version of Montreal Cognitive Assessment (MOCA-J)などがあります。また、施設によってはAlzheimer’s Disease Assessment Scale-cognitive subscale:ADAS-cogを行っている場合もあります。

こうした神経心理検査を行うことで認知機能低下があるのか、あるとすればどの項目でどの程度の低下を来しているのかを客観的に評価しているのです。

もの忘れ外来での最初のステップとして認知機能の評価を行うことを説明して来ました。次回は次のステップとして画像検査についてお話いたします。

 

#もの忘れ外来 #アルツハイマー型認知症 #認知症診療