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認知症をきたす病気について2


アルツハイマー型認知症

皆さんこんにちは。

院長の中野正剛です。

前回はアルツハイマー型認知症の歴史についてお話をいたしました。

今回からはアルツハイマー型認知症の診断についてお話をいたします。

アルツハイマー型認知症の脳内での変化

現時点でアルツハイマー型認知症と診断するには脳内で以下の変化が起きていることを確認しなければなりません。

・老人斑(アミロイドβ蛋白):略してA

・神経原線維変化(リン酸化タウ蛋白):略してT

・神経細胞脱落(神経細胞の減少):略してN

21世紀になるまで上記の所見を確認するには脳を取り出して標本を作り、顕微鏡で観察する必要がありました。

現在では生前に神経細胞の減少(=要するに萎縮です)を脳MRIで詳細に調べることが出来るようになりましたし、アミロイドβ蛋白やリン酸化タウ蛋白の脳内の沈着についてPET検査や脳脊髄液を調べることで確認できる様になっています。さらに血液検査でこうした異常なタンパク質の沈着を確認できる技術も実用化されようとしています。

以下の図にお示しした様に、脳内ではアルツハイマー型認知症発症の15~20年前からAからTの変化が起きており、しばらくしてNの変化が出現してきます。Nの変化が起きるまでは無症状から軽度認知障害:Mild cognitive impairment (MCI)の状態が続き、やがて認知症へ移行する、というのが現在の考え方です。MCIについては今後ご説明する予定です。

(この図は厚生労働省のホームページに掲載されている認知機能低下予防・支援マニュアルを一部改変しております。)

 

現在、アミロイドやタウのPET検査は保険適応となっていません。もの忘れ外来では脳萎縮の程度を脳MRIで評価し、さらに他の認知症との鑑別のため脳血流SPECTを行うことでアルツハイマー型認知症らしさを裏付ける診療を行っています。

それと同時に認知機能の査定も重要です。記憶障害がどの程度であるのか、他の認知機能の低下が起きているか否かを心理検査で評価しています。

そしてそのせいで日常生活に支障をきたすようになっているか否かを確認し、軽度認知障害の状態であるのかアルツハイマー型認知症となっているのかを判断しています。。

次回はアルツハイマー型認知症の診断手順についてお話をいたします。

 

#もの忘れ外来 #認知症