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もの忘れ外来について3


認知症について

皆さん、こんにちは。院長の中野正剛です。

前回はもの忘れ外来が対象としている疾患の割合についてお話いたしました。

今回はもの忘れ外来が対象としている認知症の症状について全般的にお話させていただきます。

認知症の症状

認知症の症状は、こころの症状と身体の症状に分けられます。

まずはこころの症状について説明します。

こころの症状

こころの症状はさらに2つに分かれます。

一つは認知機能の低下、もう一つは行動と心理の症状です。

認知機能の低下には、記憶力の低下(記憶障害)、判断力の低下、問題解決能力の低下、込み入った作業をこなす能力の低下(実行機能障害)、うまく作業できない(失行)、物の区別ができない(失認)、ボキャブラリーの低下・言葉の意味がわからない(失語)などがあります。

認知機能は心理検査で調べることができます。一般的に認知症の重症度は心理検査の点数で判断されています。

また、認知症の病型によって初発となる認知機能の低下には違いがあります。アルツハイマー型認知症は多くの場合記憶障害が初発症状であることが知られています。

行動と心理の症状はかつて「周辺症状」と呼ばれていました。しかし、ある認知症では「周辺」ではなく中核的な症状であるため現在ではBPSD (Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)と呼ばれる様になっています。

BPSDには以下の様にさまざまな症状があります。

  • 感情・意欲の障害

–恐怖、不安、抑うつ

–意欲の低下

–無関心

–依存

–焦燥

–心気

  • 幻覚・妄想状態

–被害妄想、嫉妬妄想、迫害妄想

–幻視

  • 睡眠障害
  • 行動症状

–徘徊

–仮性作業

–攻撃的行為

–多弁

–多動

–異食

–過食

–介護への抵抗

–不潔行為

–暴言

–暴力

–逸脱行動

一般的にBPSDが重い方が認知機能低下よりも医療現場で治療が難しかったり介護の場面で負担感が強くなる傾向があります。

身体の症状

認知症ではこころの症状に加え、しばしば身体の症状が併せて出現します。

身体の症状としては以下の症状が挙げられます。

・麻痺などの神経症状

・パーキンソン症状(錐体外路症状)

・起立性低血圧などの自律神経失調症状

・筋力の低下

・便秘などの消化器症状

・関節の拘縮

・皮膚症状(認知症特有ではなく高齢者特有の老人性皮膚掻痒症など)

上記の症状は全てに認知症に必ずしも出現するわけではありませんが、身体の症状がある為にBPSDが出現している事もあります。認知症の方はこころの症状だけでなく身体の症状も併せ持ちながら生活していることを理解しておく必要があります。

 

次回からはさまざまな認知症についてお話をいたします。

 

#もの忘れ外来 #認知症